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“文学少女”と繋がれた愚者

タイトル:“文学少女”と繋がれた愚者(小説:ファミ通文庫)
作者  :のむらみづき:野村美月
絵師  :竹岡美穂
デザイン:?
編集  :?

現実の文学作品と、作中の状況を密接にリンクして展開させる”文学少女”シリーズ第三弾。
今回は、今までに登場してきたキャラクター達の抱える心の傷が各所で関係しあい、主人公の心葉くんの抱える問題についても踏み込んだ描写が増え、物語的にもみどころの多い1冊となっています。
うーん、巻を重ねる事にさらによくなる印象がありますね。おすすめです。
単に文学作品とリンクさせてるだけではなく、ミスリードを誘ったりミステリ的な部分もあり、読んでる人間を飽きさせません。

あーそれから、最初はほんとにただの脇役だと思っていた琴吹さんがなんかどんどんかわいくなるのはもうどうしたらいいんでしょうか>どうしようもない
文学作品とリンクさせているということで、堅苦しいものを想像してしまうかもしれませんが、物語を食べちゃう妖怪(ただし、本人は文学少女だと言い張ってます)である遠子先輩の存在が、話を身近な存在に近づけてくれています。これは、ぜひとも図書館、図書室に置いてほしいシリーズですね。できたら作中で言及された文学作品とセットにして、特集棚みたいなものを組んで。
……そうか、ネット上でそういう特集ページを作るという手もあるのか。ちょっと検討してみよう。


この作品の名台詞

「賢くなろうとするあまり、あれこれ思い煩って、立ちすくんでしまわないで! あなたを繋ぐ鎖に囚われないで!
未来は明るく素晴らしいと、お目出たい想像をしてみて! 想像がゆきすぎて失敗してしまうことも、惨めな思いや恥ずかしい思いをすることもあるかもしれないし、誤った想像で他人を傷つけることは、もちろんいけないことだわ。けれど間違って転んだら、また立ち上がって、歩き出せばいい!
苦しい思いをしても、それは、あなたが未来に、今、復讐されているだけなのだから、がっかりしないで。どうせ、私たちは愚かなのだから、どんなときも、心に理想をかかげる愚か者であって。失敗を恐れず行動する愚か者であって。
愚かでもいい。あなたはあなたらしく、あなたの声で、あなたの言葉で、あなたの想いを、あなたの真実を、存分に語って! あなたの心で、あなたの行く道を決めて!」

→解説


「本を閉じれば、物語は終わってしまうのかしら? いいえ! それはあまりにも味気ない読み方だわ。あらゆる物語は、わたしたちの想像の中で無限に続いてゆくし、登場人物たちも生き続けるのよ。
わたしたちは、その物語を、明るい光に満ちたものにすることもできるし、哀しく切ないものにすることもできる。だから”文学少女”であるわたしは、彼らの未来が素晴らしいものであると想像するわ!」

→解説


「……っ、なにも、知りたくなかった……。誰とも近づきたくなかった……会わなければよかった……」
美羽にも、芥川くんにも、会わなければよかった。
「それじゃあ心葉くんは、わたしとも、会わないほうがよかったと思う?」

→解説


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from 暗闇カフェ on 月曜, 2007/02/12 - 22:31

“文学少女”と繋がれた愚者

ここ最近読んだラノベの中でピカ1といっていいほどお気に入りの作品です。
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たまたまな...

from ラノベ365日 on 日曜, 2006/12/31 - 22:53

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