迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル?
作者 :はやしりょうすけ:林亮介
絵師 :つゆき:津雪
デザイン:?
編集 :?
おもしろかったーっ!!
今後に対する期待も込めて赤枠おすすめで!
現代が舞台+キャラも人外レベルの人間は出てこないから、ど派手な物語ではないんですが……実際にリアルでダンジョンもぐりをやったらこうなるかも?という設定が見事に消化されていると思います。
京都を襲った大地震がきっかけで開いた洞窟【迷宮】
。その化け物退治をして大金を稼ごうとする探索者たちの群像劇です!
第二期の探索者募集試験に合格した真壁啓一の日記を中心としつつ、ダンジョン探索者はもちろん、京都の迷宮街に関わる様々な人々による多人数視点から、ダンジョン探索の日常を描写していきます。
どんなに強い探索者でも、時にはあっさり命を落としダンジョン探索の厳しさを冷徹に示しているので、読んでいてかなり緊張感がありますね。なにせお気に入りのキャラが死なない保証がないので……。
設定周りもユニーク。探索者が何で生計を立てているかというと、迷宮から出てくる怪物には人類が調合できないか調合に莫大な資金の必要な化学物質が豊富に含まれていて、それを持ち帰って売却する、とか治癒魔法の効果はあくまで人体の能力の延長でできることに限られるとか。魔法を掛けてもらうと「垢がよく出る」には思わずニヤリ。
多人数視点(ほんとに様々な人物からの視点です)から描くことで、ある人物の死がどういう影響を与えたとか、その人物が周りにどんな見方をされているのかなどがよくわかります。真壁が徐々に成長していく様子が手に取るようにわかって、思わずエールを送りたくなります。
恋愛要素もつっつくようでくっつかなかたり、意外な人同士がくっついていたり、一般人との間にできる溝とかこれも今後の展開が気になるところ。
というわけで早く続きが読めますように!
この作品の名台詞
「殺すよ」
「今日はもう全部殺す」
「それ、五人分か」
「今日の報酬。大漁ですよ。一人四十オーバー。誰も持っていってくれませんでした。遺族に渡すんでしょうね、私が。みんなずるいなあ」
「リーダーってのは、腕っぷしが強いからなるんじゃねえんだろう」
「私は腕っぷしだけですよ」
「札束を遺族に渡すのは、お前さん以外に無理だ。それができる奴がリーダーになるんだ」
「みんなだってできますよ。ずるいな」
「できねえんだろう。できねえ奴には命は預けられねえんだろう。だからお前がリーダーなんだ。三原さんは、お前をほめてたよ。『お嬢がいるならあそこは安心』てな。美濃部も後頭部はどうにもならねえが、顔は作りやすかった。死んだ奴の考えてることなんてわかりゃしねえが、悔いはなかったんじゃねえかと感じたな」
「ある日ね、お店に来なくなるのよ。明らかに私のシフトにあわせて缶コーヒーを買いに来ていた人が。ホテルの前の自動販売機でも売ってる缶コーヒーを、これがなきゃ始まらんて言いながら買いに来てた人が来なくなるの。当然私たちは十分お金を稼いだので故郷に帰ったんだと思おうとするわ。あんなに通いつめておいて、故郷に錦を飾るのに私に一言の挨拶もないなんてひどいよねー、ってバイト仲間と笑ったりするのよ。――みんな涙目なんだけどね。それでおしまいにして私たちは忘れようとするわ。でも、ある時お店のお客さんの会話にその人の名前が出るのよ」
「過去形で」
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