名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

フレイアになりたい 2

タイトル:フレイアになりたい 2(小説:スーパーダッシュ文庫)
作者  :おかざきひろのぶ:岡崎裕信
絵師  :中村博文
デザイン:?
編集  :?

スーパーダッシュ文庫以外では出せなかったんじゃないか?という気がなんとなくしてきた学園伝奇アクション。
ただし、アクションも伝奇も実のところウェイトとしてはそんなに比重が高いわけではなく、演出上必要なために存在している感覚があります。
前作に比べればまだしも救いがあるようですが、でも実際には主人公は巨大な十字架を背負った状態で生活しているので、どんなに軽薄なやりとりをしていてもどこか重いです。生死観がテーマのライトノベルってかなり希少。
以下前作のネタバレ部分なので隠します。
この作品がなんで重いのかよーくわかります。

だって、ライトノベルで1巻にして主人公の少女が生きる希望を失っていた時に励まし、再び生きようと決意させてくれた友人は、主人公が努力の限りを尽くした(ここ重要)にもかかわらず結局死んでしまい、しかもその過程で自分の命を蘇らせた別の友人はその代償であと5年の命。友人の能力によって生かされている自分もあと5年の命。
いやもうこんな設定そのものが通常ライトノベルとしては到底ありえません。なにせ普通に考えたら希望の持ちようがない。
この巻でも油断していると、周りの知り合いがふと気が付くと姿を消してしまうので辛気くさい話が苦手な人にはちょっとお勧めしづらい作品です。その代わり、普通のライトノベルでは難しいこういう重い生死観に関わるテーマに向き合うことができるわけです。
というわけでエンタメとしては重めですが、この作品でしか味わえない個性を求める方には迷わずおすすめします。


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