名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

連射王 (下)

タイトル:連射王 (下)(小説:メディアワークス)
作者  :かわかみみのる:川上稔
絵師  :?
デザイン:?
編集  :?

スポ根小説ならぬ、シューティングゲームに対する静かな闘志を描いた……そうゲー根小説とでも言うべきもの。
シューターなら読め。そして、シューターでなくともSTGに対する興味を刺激されると思われる作品です。
炎のように激しい熱血さとはまた違う、静かに、しかし確実に燃え続ける魂の記録。
「なぜシューターが家庭用でなくてアーケードゲームにこだわるのか?」とか「ゲーム如きに真剣になってるのはなんで?」とかが少しわかるかもしれません。
ゲームという枠にとどまらず、自分は何かに対して本気になれるのか?というれっきとした青春小説です。恋愛要素も入ってますし。題材が題材なだけにどうがんばっても人を選ぶことは避けられないでしょうが、癖の強さという点では、「終わりのクロニクル」よりもむしろ読みやすいのではないかと思います。
ハードカバーだけに投資金額もバカにはなりませんが、それだけの価値はあります。以下に紹介。

野球部でレギュラーでやっている程度には実力もあるけれど、どうしても他のメンバーのように本気にはなれないことを自覚している高校生・コウ。ある時暇つぶしで入ったゲームセンターで見かけた、「大連射」という名のシューティングゲームのワンコインクリアの光景が忘れられず、それがきっかけでシューティングゲームをはじめる。自分は何かに対して本気になれるのか?という思いを持ちつつ……。目指すはファーストプレイ・ワンコインクリア。

作者が作者なだけにおおかた予想のつく方も少なくないでしょうが、その内容は相当にこだわってます。なにしろ作中に、図入りでシューティングゲームの基本的な面構成や弾避けのやり方、専門用語解説まであったりします。シューティングゲームの初心者だったら、この作品読み終えた後にプレイしてみるとコツがわかって、レベルアップしてるかもしれないくらいには丁寧なので、ゲーム知識がなくても特に問題なく読めるのではないでしょうか。
とはいえ、当然ながら作品へのシンクロ率は実際にゲーセンでSTGを遊んでいた方が圧倒的に高いのは確か。個人的にはSTGに縁のない人が、この本を読んだ時にどういう感想を持つのかが聞いてみたいところですが……。
それから上巻の巻末に縦スクロールSTGの解説入り年表がついてまして……シューターにとってはなんかもう感涙もの。こんな年表がついてるあたり、本作が心底趣味丸出しで作られていることがよーくわかります(笑)。

それから、幼馴染みの少女・蓮がイイ!!
主人公のコウは、自分の立ち位置がなかなかしっかりしないので見ていて非常にもどかしく、特に蓮とのやりとりでは途中何度も背中をどつきたくなってきましたよ! ああもうじれったいな本当に!みたいな。
というわけで、普通な青春小説としてもしっかり読めますからご安心を。

まとめると、全体としては趣味全開な作品ですが、青春小説としても楽しめます。なによりシューティングゲームを愛するものの一人としておすすめしたい!

おまけ。
上下巻の目次。言葉は不要。シューターだけわかれ!
連射王

  • 上巻
    • 序章 『19XX』
    • 第一章『交錯の記憶』
    • 第二章『達人』
    • 第三章『超不確定使命』
    • 第四章『三角関係』
    • 第五章『戦-翼』
    • 第六章『プラスアルファ』
    • 第七章『螺旋の食事』
    • 第八章『疾風光』
    • 第九章『燦然たるShootingGamer』
    • 第十章『怒るが』
    • 第十一章『厳しき者の魂』
    • 縦スクロールSTG概史
  • 下巻
    • 第十二章『大旋風』
    • 第>十三章『撃鉄の開拓史』
    • 第十四章『抜群』
    • 第十五章『自位置探索』
    • 第十六章『接ぎ穂』
    • 第十七章『局地戦闘』
    • 第十八章『烈火の如く』
    • 第十九章『イメージファイト』
    • 第二十章『冷めまくり』
    • 第二十一章『Vaportrail』
    • 第二十二章『達人王』
    • 第二十三章『連射王』
    • あとがき

この作品の名台詞

「どうして? 停学食らってまですること?」
「今でなければ、やって意味のないことが有るんだ」

→解説


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from いつも感想中 on 土曜, 2007/02/10 - 18:37

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