名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

ほうかごのロケッティア

タイトル:ほうかごのロケッティア(小説:ガガガ文庫)
作者  :おおきれんじ:大樹連司
絵師  :しずまよしのり
デザイン:?
編集  :?

最初に白状します。ロケットが打ち上がったシーンで涙腺崩壊の危機が。

ロケットにかけた青春。
もちろんネタがネタだけにSFマインドに溢れてますが、壮大な目標と言うよりは等身大の少年少女による挫折などをきっちり描いた非常に良質の青春模様でした! 赤枠認定いっちゃうぜ!

過去の電波男としての黒歴史を葬り去って、イトカ島で順調な高校生活を送っていた少年褐葉貴人の元に現れたのは、かつて彼が入れ込みすぎて電波と化した伝説の歌姫・クドリャフカこと久遠かぐや。彼女は秘密を守る代わりに、”私の友達を宇宙に帰して”と持ちかける。かくして正気とも思えない、携帯電話を人工衛星にするために、イトカ実業高校のロケット部(ただし活動実績はロケット関連のアニメや小説を消費するオタク)の面々を説き伏せて、ロケット作りがはじまった!

もうすでにロケットを打ち上げる、というテーマだけで読む前から陥落しているも同然ですが、オネアミスの翼などなどいろんなロケット絡みの物語がネタとしてさりげなく放り込まれていたりするあたりがなんという憎らしさ!
さらに単純にロケットだけ作ってそれですべて万事okとはならず、学園生活には様々な障害が待ち受けていて、半端なく痛かったりします。かぐやが歌手をやめざるを得なくなる辛い過去から逃げるために、半ば自覚していながらも携帯と会話するメンヘル女であったり、褐葉がいじめられていた過去が後々になって噴出してきたり。上手く回ってる中でそういうシーン見せられるのはかなり来るものが……。

そういう挫折の末に辿り着く打ち上げはマジ泣けます。買うまではタイトルさえ把握してなかった作品ですが、いやーいいもの読ませて貰いました。


この作品の名台詞

「私だってわかってるわ! 私は、ちゃんと自分を客観的に見ることができる。あなたとは違うのよ! ケータイに宇宙人がいるなんてありえない。勘違いよ。幻聴よ。妄想よ。ただのメンヘル女よ!! でも仕方ないじゃない! 聞こえるんだもの! あなただってそうでしょう? 本当は理解していたんでしょう? 自分が悪魔の転生だとか、そんなことあるわけないって。でも仕方なかったんでしょ? 私も同じなのよ? この子を宇宙に還さない限り、私は、どこにも行けないし、歌だって、歌えないのよ!!」

→解説


作品一覧


トラックバック

http://maijar.jp/?q=trackback/4270