名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

たま◇なま ~生物は、何故死なない?~

タイトル:たま◇なま ~生物は、何故死なない?~(小説:HJ文庫)
作者  :ふゆきしのぶ:冬樹忍
絵師  :魚
デザイン:?
編集  :?

第一回ノベルジャパン大賞<大賞>受賞作。
宇宙から飛来した鉱物生命体の少女が、とある少年を改造し、次世代作成の協力をさせようとするSFラブコメ。
よいボーイミーツガールであり、よいツンデレであり、よい青春ストーリーでもあります。
これはおすすめ。

宇宙から飛来した鉱物生命体である少女は、隕石と共に地球に飛来し、現場近くにいた少年・透を改造し次世代作成させるために「自分のつがい」になることを強要します。
いずれは人類になりかわる計画で、人類の理解に努めるもののその認識はいちいち透とずれるので、そのやりとりが実に楽しい。
でも、宇宙人とコミュニケーションすると、たぶんこういう些細な数々の物事でつまづきそうではあります。
単なるコメディに終わらず、仕掛けも施されていてその辺が青春ストーリーとしての部分になるのですが、それについてはあえて触れません。
しかし、佳作の「カッティング」といい、HJ文庫の新人さんはなかなかの高水準。この後の動きも気になるところです。
続きを出そうと思えば出せますが、きっちり1巻で話はまとまってますので安心してお読みいただけます。


この作品の名台詞

「……私は、ずいぶん自分勝手になってしまった」
「そうだろうなあ」
「しみじみと言うな。お前のせいだ」
「何でおれのせいなんだよ」
「お前がいたから、私は、自分勝手になったのだ」

→解説


「私に背を向けるな。透。私の方を見ろ」
「今忙しいっつってるだろ」
「もっと、私を理解しろ」
何を言ってるんだこいつは。さっきから。
「私に、関心を持ってくれ。……私は、ずっと、きさまを見てきたのだ。
何故だろう。きさまは最近、『私』にとって、最優先に近い観察対象に……
きさまは、変わった。何故だ。私は、それを、知りたいんだ。
……そう、私は、きさまを理解したい。
私は、今のきさまに、近づきたいのだ。何故だ」

→解説


「きさま、あの女と交尾をする予定はあるか」
「何を言うとるんだ。おまえは」
「あるのかないのか」
「ないに決まってるだろうが」
「ならよい。とりあえずはな。
出会った若い男女は、八割以上の可能性で、交尾、もしくはその予備動作をするのだ」
「テレビの見過ぎだ」
「そして旧い女は捨てられるのだ。女の人生などそんなものだ」
「何を見てるんだおまえは」
「きさま、私を捨てるなよ」
うわ可愛い。
「捨てたら殺す。女を」
前言撤回。
「そして、きさまの身体を壊す。以降自由意志は与えん。
反抗は無意味だ。故に最初から止めておけ。実に合理的だ」

→解説


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from monumenta librorum on 月曜, 2007/07/09 - 00:13

ノベルジャパン大賞の大賞受賞作。宇宙人の少女に改造された少年が、その宇宙人に振り回される話。ストーリー自体は、結構、シリアスなのだが、宇宙人との会話は、割と、コメディ...