名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~

タイトル:AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~(小説:ガガガ文庫)
作者  :たなかろみお:田中ロミオ
絵師  :mebae
デザイン:?
編集  :?

騙された! 騙された! 騙されたー!!

……えー。帯には学園ラブコメという文字が書かれ、さらに開始数ページを読んだ印象は
『なんだ、定番の現代ファンタジーじゃん』と思いました。
思いましたが……え、ちょ、待て、まさかそういう展開になるのかっ!

そんなわけですっかり騙されましたが、おもしろさそのものは保証します。
以下は少しネタバレするので、いかなるネタバレも欲しない人はこの時点で購入に走ることをおすすめします。

さて。

それではネタバレも少し取り混ぜて。
暗黒の中学時代を過ごした佐藤一郎は、高校で生まれ変わるべく、細心の注意を払って日々行動し徐々に望む日常を手に入れつつありました。
が、ここへ来て誤算。
異世界の魔女と名乗る”不思議ちゃん”と関わったことがきっかけで、実はその少女が同じクラスでずっと欠席していた佐藤良子と判明。
しかもクラスにはその手の「選ばれた戦士妄想」のある人間がやたらと多数。
以来、同類と思われたくないのに積極的にまとわりつかれ、ストレスで気の休まらない毎日が始まるのです……

タイトルや、最初の数行だけみると騙されますが異世界とかファンタジーは縁のない話なんです、実は。
ある意味徹頭徹尾リアルな、学生時代ならではのひどく小難しい人間関係についてとことん描写したストーリーと言えるでしょう。
そんな妄想癖に固まった佐藤良子を、果たして「この世」に呼び戻すことが出来るのか?
結末まで一気に読ませてくれるちょっと痛いけど非常におもしろい話でした。

リアル中高生時代に読めると、よりシンクロ率が高かったかもしれないのでそのことだけが唯一残念。
いい物読ませてもらいました。


この作品の名台詞

「帰還なんてやめろよ! ずっとこっちにいたっていいだろ!」
「一郎こそ、この世界が楽しいと本気で思っていると?」
「それは……そうさ。普通の高校生らしさになじめない人間だよ、俺を。けど、こうやって頑張ってんだろ!」
「私は頑張れない」
「なんで頑張れないんだよ!」
「狭量だから」
「誰が」
「世界が」

→解説


「袋小路なんだ。おまえの目指す道。どこにも行けないんだ」

→解説


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