名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

かくてアダムの死を禁ず 夜想譚グリモアリス

タイトル:かくてアダムの死を禁ず 夜想譚グリモアリス(小説:富士見ミステリー文庫)
作者  :かいとうれいじ:海冬レイジ
絵師  :松竜
デザイン:?
編集  :?

現代ファンタジーの要素の入ったミステリ。
ツンメインなデレありゴスロリ少女にシスターに社長秘書と来て、とどめに主人公は重度のシスコンだったので、これはガチガチの萌え系かと思いきや存外ちゃんとミステリしていたので、意外でした。だって富士ミスだし……ねえ?

自らが多額の寄付をしている修道院に訪れた重度のシスコン少年と、その妹。
のっけから相続に絡むきな臭い話題も飛び出して一瞬即発の空気が漂う中、修道院そのものが超常の力によって隔離され、巨大な牢獄と化す。
そして、正体不明のゴスロリ少女が現われ修道院に閉じこめられた面々に、罪人を断罪する言葉を投げかける……。
人外で人を圧倒する能力を持ち、プライドが高く何かというと電撃を見舞う攻撃的なヒロインのうえ、主人公は妹のことしかみえてないシスコンぶりなので、てっきり萌え小説だとばかり思っていたらちゃんと?ミステリ路線であらびっくり。
ものを媒介としてその場所の過去の残滓「フラグメント」を証拠として、罪を明らかにしていくという設定になってます。そこら辺については作中でもいろいろありますが、そこは読んでのお楽しみ。個人的にイラストに敗北したという一面を否定できないことも事実ですが(笑)、続編出たらまた読んでみようと思えるくらいにはよかったです。

余談ですが、ヒロインが態度がでかくてゴスロリ衣装で巨大な能力を持った人外の少女 =(漫画もアニメもみたことがないので想像でしかイメージを知らない)水銀燈
っぽいなあとか勝手に思いつつ読んでました。←先回りして言っておくけどパクりとかそういうこと言いたいわけじゃないので誤解無いように。たぶん、性格もかなり似てる……んじゃないかな? 何の根拠もないけど。


この作品の名台詞

「君は恋をしたことがないのだな」
「な!? なな何をおっしゃる。僕はこう見えて、がが学園美男子ランキングの……」
「違う違う。私が言っているのは男女交際のことじゃない。
片想いでいいんだ。たとえ片想いでも、本当に恋をするとだね、相手が何より価値あるものに感じられる。ひどいぞ。この世の価値あるもの全てとつり合うんだよ。この人を手に入れるためなら、何を差し出してもいいと思ってしまうんだ。もちろん、理屈じゃわかってる。相手も同じ人間、つまらない部分もあれば、嫌悪すべき部分もある。だが、感情の前に理屈は無力なものさ。相手はいつしか、自分にとっての世界そのものとなる。その人に拒絶されることは、この世の全てに否定されることなんだ。
自分は何の価値もない人間と思わされる。その痛みを君は知らんと言ったのだよ」

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from いつも感想中 on 月曜, 2007/04/02 - 00:10

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