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アリス×アカデミィ -彼女のついたウソ-

タイトル:アリス×アカデミィ -彼女のついたウソ-(小説:GA文庫)
作者  :せきりょうこ:関涼子
絵師  :みさきくれひと:深崎暮人
デザイン:?
編集  :?

「ありす×ユニバース」「アリス×アカデミィ」の順番で2冊一気に読みましたが、これは2冊1セットでないと評価しづらいということがわかったので、2冊まとめての紹介です。なお読む順番ですが、私見ではユニバース→アカデミィの方が入りやすいかな、という印象。アカデミィの方がおもしろかったんですが、ただユニバースの設定あってこそアカデミィが成り立つ構造なので……。読むからには二冊一気をおすすめします。

なお、ユニバースの方は一人称あたしの少女がSF体験をするということで、新井素子が思い出されて非常に懐かしい気持ちに。章題もSF作品から取られてますね。

この2冊は、平行世界に存在する二人の少女、西園寺ありすとアリス・サイオンジが入れ替わってしまうという物語。
それぞれ突如入れ替わってしまい、戸惑いながらも順応し……という筋書きです。
二人のありすは、かたや学園理事長の娘で才女、かたや宇宙海賊船の船長。この二人に限らず平行世界に存在する人間は、身分や細かい部分の性格などは異なるものの顔は瓜二つ、基本的には性格嗜好なども非常に似ています。

普通、こういった入れ替わりものは視点&世界の切り替えをしながら一冊の中で描写するのですが、二冊に分けてしまうという形式は初めて見ました。
平行世界の二人のアリスが、同時に登場しないのはこの手の物語では珍しくありませんが、そもそも一冊の中では違う世界と一切つながらないので二冊はそれぞれ独立したまま物語が動いているのです。

ただ、肝心の入れ替わりがどちらも物語がはじまった直後に発動するので、二人が元の世界でどういう人間だったのかがわからない!
特に「ユニバース」にその影響が大きく、キャラはよくわからないまましかも筋書きがSFなのでそのまま設定とか説明モードに移行してしまい、どうにも乗り切れないという弊害が。
試みとしてはおもしろいと思うんですが、二分冊というのはそれだけで消費者にとっては心理的障壁になるので、ここはどうにかして一冊にまとめる形で物語をまとめてほしかったなあという気持ちです。

あと、ユニバースではありす視点、アカデミィでは歩吹視点で物語が綴られるんですが、歩吹視点の方が読んでて楽しいですね。アリスのキャラづけがアリスがかなり特徴的なのと、いきなりわけのわからないことを言い出されて困惑する歩吹がいい感じ。

とりとめもなくだらだらと書きましたが、物語に大きな謎が残っているので最終的には二つの世界がつながって行く展開もあるのかな?
実は二分冊どころか、完結してみないと真の評価はくだしにくい、非常に紹介しにくい作品でした。


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