名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

ふたりの距離の概算

タイトル:ふたりの距離の概算(小説:角川書店)
作者  :よねざわほのぶ:米澤穂信
絵師  :?
デザイン:?
編集  :?

古典部シリーズ新作。
「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」をモットーとする、省エネ主義者の少年・折木奉太郎を探偵役に、古典部に関わるトラブルを解きほぐす日常ミステリ。日常ミステリなので誰も死にませんので、安心して読んでいられます。
毎度のことですが、思春期の少年少女の非常に微細な感情の揺れがとてもよく描写されてます。
ミステリの部分については門外漢なのでスルーで。

奉太郎たちも二年生に進級し、古典部にもとうとう新入生・大日向友子が仮入部する。
しかし、なにがあったのか大日向はそのまま本入部せず退部するという。どうやら千反田えるとの確執が原因のようなのだが、どうにも釈然としない奉太郎は、入部の締め切り日に開催されるマラソン大会を利用して、このトラブルの真相を解き明かす。

派手な台詞やおおげさな事件、おおげさな台詞は一切なし。登場人物達の会話は、かなり微細なもの。そのために感情の動きは捉えにくいのですが、これが繊細な感情を表現してくれます。
そして、シリーズを通して読んでいる人にはわかりますが、省エネ主義者の奉太郎も、やはり少しずつは仲間と関わり合う方向に変わってきているんですよね。その微妙な違いを見て取るのがまた楽しい。
今回はマラソン大会に参加しながら、推理をすすめていくという独特な進行もよかったです。
タイトルにもちゃんと大きな意味があったんですねえ。読み終わって「なるほど」と唸らされました。


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from monumenta librorum on 火曜, 2010/09/21 - 08:41

『古典部』シリーズの第五作目。学園物のミステリーになっている。今回は、進級して、春の時点の話になっている。ストーリーは、仮入部した一年生の少女が、入部しないと言い出して...