名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

HURTLESS/HURTFUL

タイトル:HURTLESS/HURTFUL(小説:MF文庫J)
作者  :しみずまりこ:清水マリコ
絵師  :たぐらとおる:田倉トヲル
デザイン:?
編集  :?

これぞ清水マリコだ!って感じの、ちょっと不思議で切ない青春ストーリー。

駅のホームから転落した女性を救って代わりに自分は意識不明の状態となってしまった兄。
そのせいで一家はマスコミに追われ、学校でも居心地の悪い思いをしている少年・街中玲夫は、「兄の心の中から脱獄してきた」と主張する変な少女と出会う……。
切なくも、心地よい読後感に浸れます。

「心の中から脱獄してきた」などというのは、相当わけのわからない流れですが、そのうち兄の人助けそのものについてまで、ある疑惑説が噂されるようになり、事態は意外な方向に。
何もかも丸く収まるわけではなく、ほろ苦さも残るもののとらえどころのない青春の一ページを見事に表現した作品ですね。


この作品の名台詞

「私は、ゆずる君のしたことを、簡単に許しちゃいけないと思う」
「でも、ゆずる君も私を許さなくていい」
許されたって、お互いの傷は消えないもの。
(痛みはやわらぐかもしれないけど……)
「だったら、許されないまま生きようよ」
――私たちが何も許されなくても、私たちの心はすれ違ったままでも、月に飛ぶ飛行機とか魔法の工場とか、きれいなものは変わらずきれいだよ。

→解説


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