名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

七歳美郁と虚構の王

タイトル:七歳美郁と虚構の王(小説:ガガガ文庫)
作者  :くがぼんちょう:陸凡鳥
絵師  :甘塩コメコ
デザイン:?
編集  :?

第2回ライトノベル大賞ガガガ文庫部門<佳作>受賞作。

なんということでしょう。
普通におもしろかったよ!
演劇めいた仰々しいやり取りは好き嫌いがちょっと分かれるかもしれませんが、少なくとも個人的にはガガガの新人賞絡みではRIGHT×LIGHT以来、久々に「普通に」楽しめました。
長尺の台詞回しが好きな方(例えば奈須きのことか)におすすめ。

1999年12月31日に起きた世界同時多発テロ<拡大人的破壊>による1999名の大量殺人。その首謀者とされる男・外木場外郎、そして彼を告発した”救済の女王”九重白雪。
……という事象とは一見関係なさそうなのんびりした九重探偵事務所の朝から物語は始まります。非常にしっかり>したバイトの少女・七歳美郁を主な語り手として、この<拡大人的破壊>に関わる熾烈な争いが展開されていくことに……
設定はかなり大上段に振りかぶってますが、最初からそれなりの伏線も提示されているので、戸惑うこともなく普通に気持ちよく読み終えることができました。台詞回しがよかった。

執拗に「普通に」、を連呼してますがそれなりに理由がありまして……。ガガガの新人賞受賞作は審査員の趣味なのか編集部の意向なのか知りませんが、最初からストーリーが妙に偏っているか、もしくは途中までいい話だったのに超展開で読者を置いてきぼりにするものばかりで、いいかげん参っていたので、ストーリーの方向性が一貫しているのは非常に喜ばしいことです。

今後もぜひこういう作品をお願いしたいですね。


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