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ドラグネット・ミラージュ2 10万ドルの恋人

タイトル:ドラグネット・ミラージュ2 10万ドルの恋人(小説:ゼータ文庫)
作者  :がとうしょうじ:賀東招二
絵師  :篠房六郎
デザイン:?
編集  :?

まずはじめに言っておきますが、これはもう明らかに読む人を選ぶ作品です。
作者の人も、そんなことは分かりすぎるくらいわかった上で好きなように書いてるのが伝わってきます。
設定上ファンタジーな要素も含むんですが、時々それを忘れ去るくらいアメリカの刑事ドラマor映画のノリで突っ走っているので、そういうのがお嫌いでなければ迷わず手にとってください。

15年前、西大西洋に現われたミラージュ・ゲートによって、地球世界は剣と魔法の支配する異世界・セマーニと繋がる。二つの世界は、争いをたびたび繰り返しながらも一定の交流を持つようになり、異文化の交流によって起こる特殊な犯罪の多発から、必要に迫られて警察組織も連携を取ることに。そんな中、サンテレサ市のベテラン刑事ケイ・マトバもセマーニの少女騎士・ティラナと協力してある事件の捜査をすることになるのだが……。
1巻ではお互いに蔑視・軽蔑、とにかく最悪な出会いだったのが命を張っての捜査を行う中で信頼関係が生まれていたのですが、この2巻では2人は悪態とかつきながらも、かなりいいコンビぶりを発揮してます。解決するべき事件というのがこれまた、魔法世界と現代世界が接続した環境ならではの特異なもの。
特にep3の話はあえて言いますがもはや神の領域です!
こんなとんでもない話よく思いつくなあ……最高です。

あと、どの辺がアメリカンな刑事もののノリなのかイマイチわからないかもしれないので、実例を出しておきましょう。

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「あそこから落ちたの?」
三階を見上げてトニーが言った。
「そうだ」
「よく死ななかったわね」
マトバは答えず、自分のポケットをあちこち探り、尻ポケットから煙草の箱を取り出した。ソフトケースのマルボロはびしょびしょに濡れていた。いまいましげに煙草を放り捨て、彼はトニーにたずねた。
「煙草あるか」
「ないわよ。あたし吸わないもの」
「それでよく死なないな」 (105Pより)
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このやりとりにニヤリとできるなら読むべきです。「どこが面白いか全然わからん」という場合は……たぶん向いてません(爆)。

あとがきで堂々と?宣言されているように、ゼータ文庫は相当な綱渡り状態のはずですが、確かに刊行点数に対する当たり率はかなりのもの。ぜひともがんばってほしいと思います。


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from 愛があるから辛口批評! on 火曜, 2007/03/27 - 21:14

ドラグネット・ミラージュ2 10万ドルの恋人 作者: 賀東招二, 篠房六郎 出版社/メーカー: 竹書房 発売日: 2007/03/01 メディア: 文庫 「こういうアメリカ刑事ものな雰囲気は大好きなんで、た...