名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

カクリヨの短い歌

タイトル:カクリヨの短い歌(小説:ガガガ文庫)
作者  :おおくわやしろ:大桑八代
絵師  :pomodorosa
デザイン:?
編集  :?

和歌を使って伝奇バトル!? これがすごいおもしろいし、世界観の構築もお見事! 赤枠おすすめです!
まさにオンリーワンな物語。

うおー、これは作者がもちろんすごいけどガガガ文庫という器があればこそかもしれませんね。こんな攻める題材、その辺のレーベルから出せるかどうか……。なお、これ単に魔法を和歌に置き換えただけじゃなく、和歌ならではの特性がきちんと生かされてるのでそこも注目。

世界からある時、歌が消えた。一首の例外もなく幽現界(カクリヨ)に消え去った。歌集自体は残っていないが、当時の資料からそれが伺える。それから数百年して、カクリヨから歌がぽつぽつと戻ってきた。しかし元のように無邪気に楽しめるものではなかった。それは……

失われた和歌を管理している祝園の当主・完道と、歌を収集するには手段を選ばない危険な歌人・帳ノ宮真晴。二人の運命がどのように交錯するのか?
とにかく『世界』を存分に堪能してください。
和歌という題材の魅力を引き出すためか、単純にバトルものという感じではなく、随所に見られる落ち着いた描写がまたいいのですよ! 願わくば、もう少しこの世界を楽しませてもらいたいものですが……。


この作品の名台詞

「……あれはやさしい男だよ。似合わない。歌は貴族の嗜みじゃない。全く違う。三十一文字には、陳腐な物言いだが、詠み手の命が込められている。濃いんだよ。あの濃さは、ふつうの人間には毒だ」
「わたしみたいな乱心者が持つべきなんだ。そして闘争に明け暮れて、逃走に明け暮れて、野垂れ死ぬべきなんだ。歌はそのためのものなんだ。それがわたしのやりたいことなんだ。わたしなら、そうなったって、ざまあみろって空に唾を吐いて死ねるんだ」

→解説


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