七姫物語 第6章
作者 :たかのわたる:高野和
絵師 :尾谷おさむ
デザイン:?
編集 :?
始めに。この紹介文はシリーズ未読の方を強く意識して作成しています。
ああ、終わってしまいましたね……
この物語にはもっと長いこと触れていたかったような、しかしながらダラダラいつまでも続けているよりもこんな幕引きの方がふさわしかったんだろうな、とか募る想いは限りなく。
独特な透明感ある描写を持ち味とした大河ストーリー、ここに完結です。
完結して改めて。この物語は他の何者にも真似の出来ない独自の魅力を持っています。2003年に1巻が刊行され、ゆっくりしたペースで6巻完結までに8年かかっているため、このシリーズを未見の方も多いと思います。定番ラブコメや異能アクションにはそろそろ食傷気味、だけど純文学とかいう気分でもない。
そんな人はぜひこの物語を手に取ってみてください。シリーズ総括として赤枠おすすめで。
このシリーズは大河もの、あるいは戦記ものと捉えるのが一番近いと思いますが、しかし徹底的に異なっています。
既存の作品は普通戦いのシーンこそがもっともクローズアップされます。そして主役を張るのはなにか大事を成す、あるいは成した人間です。
しかし、七姫物語の主役・空澄姫は、基本的にお飾りであり、なにもしません。
では、実はすごい智恵や異能を持っていて、人を影から操っているのか?というと、全くそんなことはなく、テンとトエという二人の悪巧みに乗らされて、踊っているだけ。
空澄姫は、よく言えば「七宮カセンの象徴的存在」ですが、悪くいえば「テンとトエの傀儡」に過ぎないのです。
こんな立ち位置だと、普通は何かから独立する物語にでもなりそうなもの。ですが、このシリーズでは一貫して、空澄姫が七つの都市の動静を俯瞰する立場を貫いています。
東和という世界の一翼を担い、七宮の象徴という当事者のはずが、不思議と政治や戦争という生臭い部分からは離れている。自らをまだ知識も経験も足りない身であることを認め、基本的な判断は他人に全て預けた上で、「貪欲な好奇心で全てを見つめる者」として描写されています。
この俯瞰する目が、シリーズ独特の透明感ある描写を作り出しているといえるでしょう。
姫の目線は、現場にあっても常にどこか違うところを見ているのです。
七つの都市が群雄割拠し、それぞれの都市が象徴として姫を擁立し、争っているそんな世界ですが、今目にしたあらすじから想像出来る話とはちょっと違った物語を楽しむことができるでしょう。
細かい説明はあえてこれ以上しません。どうか一人でも多くの新しい方に、この物語を手にとってもらえると幸いです。
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