名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

超人間・岩村

タイトル:超人間・岩村(小説:スーパーダッシュ文庫)
作者  :たきがわれんじ:滝川廉治
絵師  :toi8
デザイン:?
編集  :?

第7回スーパーダッシュ文庫小説新人賞<佳作>受賞作。

いろいろすごいんですが、まずなにがすごいって……プロローグから76ページまでは男しか出てこないって事ですよ!
あまりの女の子出なさっぷりに、「これはもしかして最後まで『ドキッ! 男だらけのラノベ作品』になるのか!?」と思ったんですが、さすがにそんなことはなくて、以降は女の子もちゃんと出てきました。

こういう極端な作りですが、これが実は直球の学園&青春小説。魔法とか超能力とか一切無し! 派手さとは無縁ですが(そりゃそうだ)おすすめです!

超人間との異名を取るアメコミ同好会の男・岩村が主人公。
岩村はとにかく何かに負けそうになっている人間を放っておくということができない性分。「無理」「不可能」という単語に敏感に反応してしまう超ポジティブ人間なのです。で、生徒会の画策している弱小クラブ潰しから守るため、数々の部活の助っ人に入り、部を救ってきたという実績が……。そしてまた、柔道部を救うために、ファイト中。

アメコミ同好会のメンバー三人は岩村をはじめ、身体は強くないが頭脳はピカイチで画才もある多村、2メートルを超える巨漢のマルカーノと、個性豊かでいずれもいいやつばかり。
そんなアメコミ同好会に、新聞部の新人・五月は先輩の杉浦と一緒に同好会への潜入取材を命じられ、彼らの行動に付き合う打ちにいろいろ大事なものを得ていく……という青春ストーリー。
ラブ要素はほとんどなく、純粋に青春小説というは珍しいかも。
さらに、一番最初に柔道で散々ページをとったので、てっきり格闘系なのかと思いきや、物語後半のメインになっているのは演劇という辺りいろいろ型破りな部分が多いです。

そういう型破りな部分を持ちながら、あくまでやっているのは非常にオーソドックスで不思議能力など全くない青春小説というのがなんともおもしろいですね。圧倒的に熱い岩村を初めとして、相棒である多村、マルカーノもやっぱりいいやつだし、一本芯の通った性格の新聞部の杉浦とかも実にいい味を抱いてます。生徒会との対立など、押さえるべき部分も押さえ学園&青春小説としてはもう言うことなし!


この作品の名台詞

「もう潰れるしかない演劇部にしがみついちゃってさ。マジで哀れだよな」
「誰がマジで哀れだ、この野郎!」
「ま、待て岩村! 誰もお前の事を言ってたわけじゃないぞ!」
「そ、そうだ、寝ぼけるな岩村!」
「うるせえ! 寝ぼけてるのはお前らの頭だ! このバカ! バカ、バーカ!」
「な……」
「何があっても譲れないものを持っているやつは、偉いんだよ! ひとりぼっちになっても最後まで諦めずに戦えるやつは、凄いんだよ! お前らにそれができるのか!」

→解説


「あらゆる服従は無価値だが、この世には唯一、価値のある服従がある。それは自分の心に従う事だ」
「……」
「お前が本気で生きているのなら、俺にはなんの文句もない」

→解説


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