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晴れた空にくじら 浮船乗りと少女

タイトル:晴れた空にくじら 浮船乗りと少女(小説:GA文庫)
作者  :おおにしかがく:大西科学
絵師  :refeia
デザイン:?
編集  :?

おっそろしく趣味的な話でその上文体まで独特なので、これがストライクな人はかなり限られると思いますが……
すばらしいSFです! 宇宙人があーだこーだとかそういう未来感ではなく、こんな世界がもしあったら?と思わせるセンス・オブ・ワンダーという意味で。

冒頭いきなり捕鯨シーンからはじまって、「『老人と海』みたいにクジラと捕鯨船で漢の戦い?」とか思っていたら
なんと捕鯨船が空飛んでます。
おおおお?
もうこの時点で、物語に釘付けですよ!

冒頭、一隻の捕鯨船がせっかく獲ったクジラを遺棄しなければならない事態に。そしてその直後……。

場面変わって、浮船を使った運輸会社の元に「浮き船を貸せ」と乗り込んでくる少女・クニ。
さあ、浮船によって空を飛ぶという独特な世界観のもとで、縦横無尽に空を翔る浮船の物語のスタートです!

時代は日露戦争まっただ中。
そんな中で、「白鯨」を彷彿とさせるロシアの鯨船に復讐を誓う少女クニと、運輸会社で社長代理扱いになっている、ゆるゆるな男・雪平。
そんな二人のボーイミーツガールです。
文体が独特のゆるさで、しかも設定も独特、そして萌え?なにそれ?と言わんばかりの(クニという少女は出るけど、別に萌え担当ではない)ストーリー展開なので、ツボに入る人は限られるでしょうが、これは実にいいものです。

おまけに、全くのオリジナル世界にせず、あえて史実の日露戦争に絡めた物語展開など潔いまでの趣味全開ぶり。
最近は私はなんだかラブコメに傾倒しまくっているようですが(いやまあ自覚はなくもないんですよ?)、本質的にはこういう物語が大好きなんだなあと再確認できました。
というわけで、あからさまにえこひいき発動で赤枠おすすめです。
しつこいようですが、上の説明でどうみても万人向きじゃないし、キャラ小説っぽくはないことは理解してもらえたと思うんで、その辺だけはご理解の上お読みください。


この作品の名台詞

「もう飛べないと、思ってた」

→解説


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from 狭間の広場 on 木曜, 2008/07/17 - 21:18

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【「フネをください」
そういってやってきたのは、くじらうちの少女だった。

「ここに浮船があるでし...