名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

本日の名台詞

私は今、世界で一番哀しい。


タイトル:RUN RUN RUN(小説)
作者  :やましたたかし:山下卓
絵師  :?
デザイン:?
編集  :?
キャラ :水瀬遊也 (37 P)



 ▼本日の作品&台詞解説▼

RUN RUN RUNは、まずはじめに断っておかないといけないのですが、ライトノベルという枠からは外れています。ハードカバー&挿絵なしです。まずはご了解を。
なかなかBLOODLINKの次巻が出ないと思っていた山下卓さんの久々な新作です。
黄昏の歌舞伎町で、それぞれわけありの事情を抱えたキャバクラ嬢24歳、雑誌編集者29歳、女子高生17歳、の女三人は初めて出会ったにもかかわらず、そのまま勢いで明日の仕事とかも顧みずタダ券をもらっていた東北の温泉宿へ。
ロードノベルというか辛い現実からの女三人逃避行。そんな逃避行をしながら、ほんの少しずつ彼女たちは自分の置かれた現実や傷に対して向き合っていくことになります。
明らかに設定されている読者層などはこれまでのライトノベルとは異なるわけですが、やはり繊細な心理描写は健在です。むしろライトノベルという制限が取り払われて一層昇華されているかも。
BLOODLINKの外伝を読んで惹かれるものがあった人にはもちろんですが、伝奇という設定がどうもなじめず今まで手を出したことがない方にもこの辺りの台詞や今日引用した台詞になにか思うところあれば、ぜひとも読んでみてください。おおいにおすすめ。なお店頭で探す際には、おそらくライトノベルの棚には置いてないと思われますのでご注意を。

それでは本日の台詞解説。
自分でも卑屈になっているという自覚があるのに、それでもやっぱりうじうじと自分はなんて不幸なんだろう、そう思うことが人生にはいくらでもあります。そういう場面での独白ですが……はっとさせられる一言でした。