名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

本日の名台詞

「クランチ、それじゃ、わたしがこれをクランチにあげよう」
町野は気づいている。クランチはもう、半分死んでいた。町野が涙に霞む目で、ポケットから一生懸命に探したソレ。町野は、クランチの大きな手のひらに載せる。
「どういうこと……なに? 町野? 何も……ない……ぞ?」
「それは、心の綺麗な人にしか見えない宝物だもの」
クランチは二度瞬きした。
それからクランチは、初めてもらったプレゼントを抱えるように、ソレを抱きしめた。
「おれは、何を返せば、いいんだろうか……」


タイトル:アリフレロ―キス・神話・Good by(小説:スーパーダッシュ文庫)
作者  :なかむらくろう:中村九郎
絵師  :むらたたいち
デザイン:?
編集  :?
キャラ :クランチ&町野 (215 P)



 ▼本日の作品&台詞解説▼

あまりにも個性的、おそらく現在絶版になっておらず普通に入手可能なライトノベルの中で、他に類を見ない個性を持ち、思い切り突っ走っている作品はこのアリフレロをおいて他にありません。
内容を説明しろと言われても、無理。超無理。言えることは、がんばって一冊読み切ってください、としか……。ただし読み切ったところで気に入る保証は全くありません。あらゆる意味で普通とはかけ離れた作風なので、挫折する可能性も多々あります。それでもなお読んでほしい一冊。

はい、名台詞じゃなくて思い切り名シーンになっちゃってますね。勘弁してくださいね、この作品はこうでもしないと紹介すらなかなか難しくてね……。
しかもあまりにも独特な表現方法が多すぎて最低2ページ分くらいはまるごとごそっと切り取らないと、前後の仕掛けが無意味になっちゃうという。この台詞も実は前後の膨大な台詞を一度テキスト化してからごっそり没にしました(苦笑

死にかけたクランチへの最後の贈り物。ほんとうはこの前後もごそっと入れると、シンデレラのモチーフに乗っかって状況が動いていくのでおもしろいんですが、長く成りすぎるため断念しました。普通にジーンとくるシーンと言うことで。