名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

本日の名台詞

「……傷を嘗め合うような関係になる。傷を癒すことなんて、一生できない。むしろ傷付けあうことしかできない。そんな関係、惨めなだけよ」
「傷を舐め合うことは、本当に惨めな事なのか? 誰だって傷を抱えてる。喪失を抱えて生きている。この世の誰もが、その傷と喪失を埋めようと四苦八苦して生きている。けどそれは、傷を舐め合うのとどう違うんだ? むしろ、まったく同じ事なんじゃないのか? だって結局傷は埋まりっこないんだから」
そうだ。結局、そういうことなのだ。
傷は埋まらない。
傷は癒えない。
傷は傷であり続ける。
その事に掛けてなら、僕は第一人者だ。十二年も掛けて実践してきたんだから。
「舐め合い結構。もう一度言いなおすぞ?
僕に君を――紅条トモエを愛させて欲しい。君の傷みも苦しみも憎しみも、全部欲しい。いまだ僕を憎んでいるのなら、それでもいい。その憎しみさえも、僕にくれ。そんな関係が惨めで最低だって言うなら――むしろこの世の中こそがくそったれだ。僕が言いたいのはそれだけだ」


タイトル:カッティング ~Case of Tomoe~(小説:HJ文庫)
作者  :はねだだいすけ:翅田大介
絵師  :も
デザイン:?
編集  :?
キャラ :紅条トモエ&紅条ケイイチロウ (387 P)



 ▼本日の作品&台詞解説▼

ちょっと鬱入った、どこまでも青臭い、でもそれこそが持ち味の恋愛ストーリーです。
まあちょびっとSF入ってますがささいなことですええ。

それでは台詞解説。
かつては憎まれていた相手に向って愛の告白……みたいなもの。
ただひたすらに青臭いですが、だがそれがいい。