名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

本日の名台詞

「ワトスン」
「……え? あ、僕?」
「ジョン・H・ワトスンは、医者で、作家だった。知っているね」
「知ってるけど」
「一方、シャーロック・ホームズは探偵だった。探偵以外の何者でもなかった」
「ホームズはその生涯で二度だけ、自分で小説を書こうと試みたことがある。そうして彼はこう嘆いている。”I miss my Watson.”――ワトスンがいないとつらい、彼が質問したり驚いたりしてくれないと、うまく自分の考えを語ることができない、とね」
「探偵というのは、世界に対して、読者でしかいられないものなんだ。この世界の複雑さを受け入れ、その通りに読み取り、より分け、咀嚼し、帰納するしかない。でも」
「作家は、ちがう。ぼくはある作家の執筆方法に関するコラムを読んだ事がある。彼はこう書いていた。ラストシーンから、時間の流れとは逆に小説を書くことだってできる――むしろそれが物語の作り方としては正しい、と。わかるかい。作家は世界を演繹できるんだ」
「ぼくにはできない。きみにしかできない」
「おやすみ、ぼくのワトスン」


タイトル:神様のメモ帳 6(小説:電撃文庫)
作者  :すぎいひかる:杉井光
絵師  :岸田メル
デザイン:?
編集  :?
キャラ :アリス&藤島鳴海 (273 P)



 ▼本日の作品&台詞解説▼

ニート探偵のアリスと、その助手鳴海、そしてラーメンはなまるに集まるニート達が織りなす探偵活劇、みたいなもの。あえて大団円にせず、やりきれない何かを残して終わることも大きな特徴です。

それでは台詞解決。
アリスと鳴海の会話なんですが、あえてホームズとワトスンの立場になぞられているのは直前に二人がそのコスプレをしていたことも関係してますね。この場合は単純なラストシーンからやるべきことを導き出す、という意味合いのようですがまあそんな小難しいことは考えなくても一枚の絵として捉えるといいでしょう。