2002年上半期心に残るあの名台詞・ベスト11+1

……えーこれ、もう一回選出すると4位以降は全く違う台詞ばかりになるかもです。
それぐらい選出に悩みました。結局二つほど削り損ねてしまいましたが(^^;
まあ、ともかく悩んだ末のベスト名台詞、お楽しみくださいませ。
例によって2002年上半期心に残るあの迷台詞もお楽しみください。
なお、解説文は大部分当時のものを流用しています……


 2001年名台詞ベスト5  2001年迷台詞ベスト5

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輝ける2002年上半期名台詞ベスト1は?

「あたし、あなたのことが、好きだったよ。知ってた?」
「ちゃんと言えなかったこと、すごく後悔してたんだよ。知ってた?」
「誰にも渡したくないって、今でも思ってる。知ってた?」
「じゃあ、さよなら。もう逢えないけど。…これは知ってたでしょ?」


出典:脳内台詞。2ちゃんねる某スレ252の台詞です。
キャラ:?

上の台詞の出所についてはちょっとしたお祭騒ぎがありました。2ちゃんねるのエロゲキャラ名台詞集 Part2スレッドの252以来、ずっと出典を探していたようですが見つからず。ライトノベルではないかという線でまいじゃーにも依頼が回ってきて、かなり考えたのですが結局分からず、一時はこれが真相か!?とも思われたのですが、最終的に書いた本人が名乗り出て脳内台詞と判明しました。(なお引用した2chログは未成年者への配慮のため(^^; 多少編集してあります)
実に多くの人が「この台詞はみた覚えがある」と踊った、人間の記憶はあてにならないという見本でもありました(^^;

まあそんな経緯はさておいて、単体での破壊力の大きい台詞であることは確かですね。背景のない創作台詞なんですが、長らく楽しませてもらったこともあり一位の称号はこれに捧げたいと思います。

続いて第2位。

「さて……と」
背筋を伸ばして歩き出した。
しょぼくれている由乃なんて、らしくない。
先手必勝。受けより攻め。いつもイケイケ、青信号。
それでこそ。
「令ちゃんの由乃」なんだから。


出典:マリア様がみてる ウァレンティーヌスの贈り物 (小説)/コバルト文庫/今野緒雪/絵師:ひびき玲音/後編113P
キャラ:島津由乃

ごきげんよう、惜しくも1位は逃しましたが上半期の2位はマリア様がみてるがゲットしました!
百合小説という評価もありますが、それはあくまで一面の話であって、本質は優良な学園小説だと思います。変に警戒して読まないのはもったいないですよー。

さてこの台詞はとあることがあって由乃さんがちょっとへこんでしまった時のものです。このへこみ方が由乃さんらしいというか、にっくき敵を心の中で散々罵倒しまくって、そこで復活するあたりがさすがですね。これくらい強くありたいものです。
とにかく簡潔にスパッと言い切れる表現がおみごと!


第3位〜。

「しあわせでした――――――――――――っ!!」

出典:イリヤの空、UFOの夏 《小説》/電撃文庫/秋山瑞人/絵師:駒都えーじ/その2 33P
キャラ:水前寺邦博

イリヤの空、UFOの夏→bk1→amazonは、どうにも解説が難しいのですが、SFチックなボーイミーツガールものです。一部ではUFO綾波との怪しげな通称がありますが、それなりに的を得ていますので参考になさるのもよろしいかと(^^;
台詞もそうですが、特に平文の表現に注目してほしい方です。(例:夏の飛び蹴り男が、夕暮れの空を舞う。とかできそうでできない表現も秀逸)もちろんまいじゃーとしては全作品を強力におすすめしています。

上の台詞解説。
まあこれに関しては、ネタばれ?してしまいましょう。バイクでチェイスを繰り広げている中、カーブを曲がりきれずに川へとダイブする追跡者。その追跡者たる水前寺部長の魂の叫びです。
「きゃー」とか「うわー」ではないのに一度この台詞を知ってしまうと、もはやその台詞以外に適当なものが思い浮かばないインパクトがあります。


4位。

「ツカサちょっと笑えたね。よかったよかった」

出典:家族計画 《ゲーム》/D.O./シナリオ:山田一/原画:福永ユミ/母を捜して……主に買い食いより
キャラ:王春花

家族計画は、お子様お断りゲームですが、シナリオが超秀逸なビジュアルノベルです。家族をテーマにしたものは、おそらく後にも先にもこれだけでしょう。それもかなり深く突っ込んでます。

さて、台詞解説。
落ち込んでいる主人公を、妹的存在である春花が元気付けている様子です。もっとも春花は、いつでもどんな時でも元気が服を着て歩いているような性格で、そこに周りを伝染させると言う感覚が近いかもしれません。
人間余裕のある時は自然と笑顔になるものですが、煮詰まってくると表情がなくなってきます。
逆にちょっとした笑顔ひとつで、少しでも心の余裕を取り戻すこともできるわけで、春花のような存在は小さくないのです。


5位〜。

「君の悩みに、絶対の正解はない。だがそれでも、自分だけの正解をつかむことはできる。読子・リードマンという道を歩んできた君だけがつかめる、君だけの真実だ」
「悩むんだな。今の何百倍も悩め。そして自分の真実をつかんだら、教えてくれ」


出典:R.O.D 《小説》/スーパーダッシュ文庫(集英社)/倉田英之/絵師:羽音たらく/5巻148P
キャラ:ファウスト

「R.O.D」は、読書狂のお話<略しすぎ

さくっと名台詞にいっときます。
謎多い人物、ファウストが主人公の読子に向かって語った言葉です。
人間には悩む事も必要である、と。


6位。

「単純に、人の形をした存在を殺すのが怖いのか? ふざけんなよ。
殺す事の意味と重みを――どれだけそれが重いものかも知らない甘ちゃん共が、いきがって人に銃なんぞ向けるんじゃない! 人を殺そうっていうのなら、銃に弾を込める前に、自分の頭にきっちり殺意を仕込んどけ!」


出典:オモイデのスミカ(ストレイトジャケット) 《小説》/富士見ファンタジア文庫/榊一郎/絵師:藤城陽/228P
キャラ:レイオット・スタインバーグ

ストレイトジャケット→帯画像→bk1→amazon、はダークな雰囲気漂うファンタジーです。
世界で魔法が発見されて数十年。世界が魔法なしでは成り立たなくなるほどにまで普及したその時事件は起きます。魔法の使いすぎで人間の体内に、毒素が限界値を超えて蓄積して発生する人間の魔族化。
大量の魔族化を街ごと焼き払うことで撃退したものの、以来人は魔族化に怯えながら日々を暮らすことになります。それでも魔法自体の使用をやめることはできぬまま……。
こういうストーリーの元、魔族を退治する民間の戦術魔法士レイオットを主人公にして話は動いていきます。全体的にどこか退廃感が漂ってます。魔族に対抗する各種の設定や装備が雰囲気出てます。
一番大きいのは魔法の使用制限についてですね。体力の限界でもなければマナが尽きるわけでもない。特殊な装備を着て魔法を使用する魔法士も、やはり限界を超えて魔法を使用すれば魔族化してしまう点。これが物語に緊張感を作り出しています。
手っ取り早く世界観を知るなら各巻末に基礎知識が載っていて、用語解説があるので、これを読めば好みかそうでないかすぐにわかるかと。
私としてはこういうのはお好み〜。

台詞解説。
状況はネタばれになるから言いません。でも名言。
覚悟のないヤツが武器なんか持つな、と。これはいろんな面で応用できそうな台詞です。テキストサイトの「祭り」をみていてちょっとそんな感想を持ってみたりしました(^^;


7位っ

「お前よお… 女にフラっぱなしだからってそんな事で自暴自棄になっちゃいけねえよ
やな事つれえ事あった時 後ろ向くのは簡単さ でもそれじゃいけねえ 真っ正面向きてえよなあ
ちょいとこう考えてみな 昨今の奴らは口ばっかりで行動力がねえ 俺だってそうだ 何にも出来ねえ 逃げてばかりの腰ヌケさ
その点お前は立派だよ 短期間に七人の女に告白したってわけだろう
後ろ向く必要なんてないさ 大したもんだよ
そんな奴がどれだけいる!?
発想を変えな!! 自分の行動力を誇りに思え!!
いいか!!
結果じゃねえ 経過が人を大きくする!!
でっかくなろうぜ!!」


出典:ラッキーゴー(バラエティ2巻に掲載) 《コミック》/花とゆめコミックス/ささだあすか/170P
キャラ:夏目馨(かおる 通称メカちゃん)

ラッキーゴーは、「バラエティ」内に掲載されている短編です。
落研に所属するにぎやかな面子の引き起こす騒動を書いてますが、この台詞自体は次々と女の子に告白して見事に玉砕し、ちょっと暴走している失恋少年を説得しているシーンですね。

熱い、ひたすら熱いっ!


8位

「《当たり前》に負けちゃいけない。
……《当たり前》って何だ? 普通って事か? ……それは他人が決めたもの、押し付けられた価値観だ。価値とは自分で見出すもの、自らの努力と経験で作り出すべきものなのだ。世間に――《普通》になんか負けちゃいけない」


出典:悪魔のミカタ 《小説》/電撃文庫/うえお久光/絵師:藤田香/2巻25P
キャラ:小鳥遊恕宇(たかなしじょう)


悪魔のミカタ→bk1→amazonは、……さてどう説明したもんやら。
イラストや1巻序盤の展開を見る限り、ありがちなエロゲのシナリオでも読んでいるかのような気分にさせられるのですが、そこから物語は二転三転して一気に意外な方向に転がって行きます。
これはとある事情から悪魔と取引することになった人間・堂島コウを巡るお話。ミステリ的な展開を作品内に取り入れていて、それがもともと独特な感覚の作品に、さらに独自の空気感を与えています。これも正直かなり人を選ぶと思いますが、私は大いにおすすめ。
……なんかこのところやたらおすすめしまくってますが、とっときの紹介が続いたせいなんであまり気にしないで下さい(^^;
2巻でもやはりこの空気感は健在です。

さてさて台詞解説。
ネタばれくさいので、解説はしません。しかしながらたいへん意外なシーンで使われている台詞だと言っておきましょう。シーンさえ知らなければさらに極上の台詞なんですが……アハハ(汗)
思うに、日常使われている「世界の偉人の言葉」にも、本来の使い方はあまりにも恥ずかしくて言うのがためらわれる類のものがあるんじゃなかろうかと、そういうことを思ってますええ。


9位

――テイ、エスタシア。(立て、エスタシア)

出典:真世の王 (小説)/EXノベルズ(エニックス)/妹尾ゆふ子/絵師:金田榮路/いろいろ頻出
キャラ:いろいろ

真世の王→bk1→amazonは、正統派ファンタジー小説です。世界の滅びが目前に迫り、竜までが出現するようになった世界でその運命を断ち切ろうとする人々の物語です。
目を惹かれるくだりは書物には事実しか書かれる事はなく、本と言う存在自体がほとんど人々の目に触れることのない特別な存在という点かな。あと、言葉自体の持つ力とか。剣と魔法の世界には違いないのですが、ロードス島戦記あたりとは根本的に設定を異にしています。化け物との戦闘よりも世界のありようを描く方に重点が置かれてます。
活字として表現するうえでの魅力が詰まっている感じですね。ただし、その分ハードルは多少高くなっているかもしれません。ファンタジーな世界を好きな方へ。

さて台詞には説明が必要ですね。
上で説明したように真世の王では、言葉は重要な意味を持っています。という前提のもと、物語中幾たびもへこたれそうになるエスタシアを支えている言葉です。
言葉としては単純なのですが、命令ではなく、共に歩む同志として心の底から闘志を込めて、または自分自身を奮い立たせる言葉として、もっともこの作品中心に残っている言葉ですええ。


10位

「さあ諸君 地獄を作るぞ」

出典:ヘルシング (コミック)/YKコミックス/平野耕太/OURS2002年7月号124P
キャラ:少佐


まあとにかく見てください。
なんであんなに少佐はかっこよいのでしょう。やっぱりヘルシングは最高です。


11位

「エルナ…これは言っておく あんたはのんきすぎる
ここは戦場だぜ…」
「何? それは
話も通じないし何が起こってもいい特別な場所なの?
ううん違う…
この世界に そんな特別な場所なんてない」


出典:聖戦記エルナサーガ (コミック)/Gファンタジーコミック(エニックス)/堤抄子/7巻44P
キャラ:シャールヴィ&エルナ


聖戦記エルナサーガ(6月27日に新装版発売開始です)は、傑作ファンタジーコミックです。今回は詳細な説明はしませんが、上の台詞を見て感じるところはあるでしょうか。
ファンタジーのお約束程度にしか思われませんか?
でも、エルナサーガはこういった多くのファンタジーものがうわべだけで流してしまいそうな実は重いエピソードをとことんまで追求しています。私が強力におすすめするのはひとえにそういう理由から。
目先の派手さを越えたところにこの物語はあるのです。

戦場の只中にあってさえも、幾多の戦いを体験してさえもこういった台詞を言えるエルナ。いい、やっぱりいいなあ……。


特別賞

或る一つの無駄を愚かと蔑み、或る一つの無駄を芸術と持てはやす。一体、その境は何処にあるというのだろう。
境界は不確かだ。定めるのは自分だというのに、決めるのは外側になっている。なら初めから境界なぞない。世界はすべて、空っぽの境界でしきられている。だから異常と正常を隔てる壁なんて社会にはない。
―――隔たりを作るのはあくまで私達だ。


出典:空の境界 《小説》/竹箒/奈須きのこ/絵師:武内崇/上巻189P
キャラ:両儀式


空の境界は、同人ゲームでありながら爆発的な人気を誇り……すいません今日の更新は拙速で行きますんで、詳しくはまいじゃー認定を見てください。
その原作者さんが書いた同人小説です。
濃いです。ひたすら濃いです。生死観とかの描写は圧巻。萌えメインで月姫をプレイしていた方は、あの硬質なノリにはちとついていけないと思われるので手を出さないのが無難です。造語の嵐が吹き荒れるようなライトノベルを読む方にはぜひぜひおすすめしたいです。が……現在市場ではたぶん売り切れ状態ですね。
あらたに増刷の情報が入ったらできるだけ早くお知らせしたいと思います。とりあえず台詞だけ見て購入準備だけでもしておいてくださいませ。

台詞解説はあえてしません。
ですが、この境界はタイトルになっているくらいだから、作品の大きなテーマにもなっています。
いつだって壁は「元からある」ものではなく、「後から作られる」ものなのです。


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