名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

本日の名台詞

「よーちゃんは、”可哀想”ってことを、どう思う?」
「どう、って――」
「誰かが誰かを可哀想だと思う――それは確かに優しい事だけど、でも時と場合によっては何の意味もないものだったりすることがある――とは思わない?」
「え、えと――」
「人間にとって一番素晴らしいことは感情移入だ、なんて馬鹿なことを言ってた作家がいたけど――同情なんて、状況が違えば何の役にも立たないわ。人は見当外れの感情移入ばかりして、余所に害にしかならない介入を繰り返しているだけよ。ねえ、よーちゃん――あなたは優しいわ。でもその優しさの使い道を間違えないで。
可哀想なのは、みんながそうなのよ。誰かだけが特に可哀想ということはない……何かを救おうとすれば、別のものを犠牲にするしかないのが、世界というものよ。そして私なら、よーちゃん――あなた以外の誰かを、あなたを犠牲にしてまで救おうとは思わない」


タイトル:しずるさんと無言の姫君たち―The Silent Princess In The Unprincipled Tales(小説:富士見ミステリー文庫)
作者  :かどのこうへい:上遠野浩平
絵師  :くらもとかや:椋本夏夜
デザイン:?
編集  :?
キャラ :しずるさん&よーちゃん (160 P)



 ▼本日の作品&台詞解説▼

一言でいうとベッドの上の美少女探偵ミステリ。
これも立派に上遠野ワールドの一角なので、ブギーポップとか読んでる人にはピンと来る部分があったりします。

それでは台詞解説。
わかったようで、実はわからないわけですが、しずるさんが相当によーちゃんのことを想っていることは読み取れます。