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スワロウテイル序章/人工処女受胎

タイトル:スワロウテイル序章/人工処女受胎(小説:ハヤカワ文庫JA)
作者  :とうまちとせ:籘真千歳
絵師  :竹岡美穂
デザイン:?
編集  :?

スワロウテイル序章。

独自の世界観、広がる大風呂敷、科学、宗教観、AIに至るまでとにかく壮大なテーマを詰め込んだシリーズ。
SF寄りのラノベ読みや、AIスキーには全力でおすすめしたい! あまりにもいろいろ詰め込まれたためにとっつきづらさを抱えているシリーズなんですが、未読の方はこの3巻から読むと比較的情報量が少なめで、学園生活描写が楽しく、またいくらか文章的にもこなれてきているので世界観に入りやすいのではないかと思います。キャラから世界にはいるタイプの人にはこの読み方をオススメ。
ただ、神林長平あたりでも普通に読むぜ、という方なら普通に1巻から入った方が世界観に魅入られやすいのではないかと思われます。まあ時系列は3、1、2巻の順でも執筆はあくまで1巻が最初ですしね。

男女が別々の自治区で暮らす人間と共に生きる人工妖精<フィギュア>。2歳になる人工妖精の少女・揚羽は、全寮制の看護学園に通いつつ、裏では人間に仇なす狂った人工妖精を処分する《青色機関》の一員として活動していた……。

裏では学園内で起こる不審な事件を調査し、陰惨な真実とも向き合うことになる揚羽ですが、表で送っている学園生活が実に生き生きしてます!
読む人が読めば一発でわかりますが、「ごきげんよう」「ごきげんよう」でおなじみの某ラノベをリスペクトしてますね。単なるパロディのレベルではなく、きちんとスワロウテイルの世界観の一部として昇華されているあたりはお見事。このように愉快で賑やかな学園生活もずっと続くわけではなく、揚羽には過酷な試練が訪れることになるわけですが……
世界観も1巻を読んでいればこそなじみがありますが、未読であれば十二分に刺激的なのは保証します。

この3巻読んだあとでもう一度1巻に戻って読み返すと、最初読んだ時に適当に読み流していた様々な事象が、驚くほど綺麗に氷解し、すっきりした気分になれます。可能であれば再読をおすすめ。

しかし揚羽はかわいいですね! 自己主張の強いタイプではなく、思いきり流されるのがデフォルトですがそれもまたチャームポイント。そして、その性格すら伏線になっていたとは……いやはや。


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