名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

本日の名台詞

「生まれながらに美しいなんて、ずるいやつってことですよ、先輩」
「それは、それはわたしの責任では」
「だって、ほとんどの人間は、ふつうなのよ。先輩。ふつう」
「はぁ」
「ねぇ、でも、十六歳で。まだ十六歳で、先輩みたいにとくべつな同性を見てしまったら。それが恋敵で、わたしを気にしてもいなかったら。
これからさきのながいながーい人生をですね、先輩。ちっともとくべつじゃない自分とむきあいながら、わたし、どうやって生きてくの?」


タイトル:少女七竈と七人の可愛そうな大人(小説)
作者  :さくらばかずき:桜庭一樹
絵師  :?
デザイン:?
編集  :?
キャラ :緒方みすず&川村七竈 (116 P)



 ▼本日の作品&台詞解説▼

親の「いんらん」によって、父親のわからない状態で生まれ育った少女・川村七竈は、その出自とあまりにも目立つ飛び抜けた容姿で周りから浮いているちょっと変わった存在。
そんな少女七竈と、彼女の恋愛模様、そして親だったかもしれない大人たちを巡る物語です。
おもしろい……というか、特徴的なのは(別にこの作品に限ったことではありませんが)会話とは自体は浮世離れしていて、おとぎ話のような感覚であるはずなのにそこから描き出される多感な少女の心情表現はこのうえなくリアルに感じることでしょうか。

などと柄にもなく、わかったようなことを書いてもぼろがでるのがオチなので、桜庭作品の「少女」はいいなあ、と一言で言い切るのでした。

さて台詞解説。
勝手に後輩に恋敵認定されてはみたものの、軽く受け流してしまい以降、なにかと理由をつけては絡んでくる後輩。なんというか庶民代表の嘆きです(笑)