名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

エレGY

タイトル:エレGY(小説:星海社文庫)
作者  :いずみかずよし:泉和良
絵師  :huke
デザイン:?
編集  :?

これは……やばい。
特に創作してる人が読む場合によっては七転八倒して悶え苦しむかもしれない、そんな青春小説です。おすすめ。

この作品、物語の冒頭があんまりと言えばあんまりな出だしなので、ひたすらコメディチックな話を連想するかもしれません。が、さにあらず。
個人制作のフリーゲームで生活しているという、もう聞いただけで生活基盤があまりにも儚い青年と、彼のゲームに心底惚れ込んでコンタクトをとってきた女子高生のエレGY。そんな二人の出会いは……。
退屈な日々にとうとうネジが飛んだ”僕”が、ゲーム制作のブログに
「この日記を見た女の子は今すぐに、自分のいやらしいパンツ姿の写真を携帯で撮って、メールでボクに送って下さい! 直ちに! 早く!」
などと書いてしまったのがきっかけ。

普通ならこんなアホな書き込みなど相手にされないはずが、なんと本当に女子高生の”エレGY”から反応が!
かくておかしな形で知り合った二人は、やがてリアルでも顔を合わせるようになり、エレGYの突飛すぎる行動に時には引きつつも、次第に惹かれていくことに。

まあこれだけならベタな恋愛模様といえます。
やばいのは、せっかくこうやって距離が近づいたというのに、「これは作品を好きなだけであって、僕という個人が好きになったわけではないから幻滅されるまえに別れる」という考えに取り憑かれてるあたり。以降見ててイライラしつつも、どこか他人に見えない、それどころかもし創作してたらもっと洒落にならない気分になる展開が待ってます。
でも、苦しみつつも最後まで読まずにはいられない。そういう魅力に溢れた作品でした。

あと、この作者さん実際にフリーゲーム作家で、しかもほんとにグッズ販売までしてますからね。これどこまで創作でどこまで実話なんだろう、と思い出すと余計にシャレになってません。だからこそ、ここまで緊迫感に溢れた物語に仕上がったのかもしれませんが、ともあれぜひとも読んでいただきたい作品です。


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