名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

まおゆう魔王勇者 1「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」

タイトル:まおゆう魔王勇者 1「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」(小説:エンターブレイン)
作者  :とうのままれ:橙乃ままれ
絵師  :toi8
デザイン:?
編集  :?

噂には聞いてましたが、確かにおもしろかった!
敵同士であったはずの魔王と勇者が手を取り合い、人間と魔族のどちらが勝つことも負けることもなく経済によって平和を取り戻そうとする物語。

「まおゆう」という言葉自体には、ネット上でかなり話題になった作品なので聞き覚えのある方、既にweb版を読んだ方も多いかもしれません。元々は2chのニュース速報VIP板などの魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」スレで発表されていたもので、話題の大きさから、書籍版ができるまでに至ったというもの。
もっとも私はほんの少しだけweb上で読みかけてあまりの読みにくさにあっさり挫折し、書籍としてまとめられると聞いて発売をそれなりに楽しみにしてたクチです。
というわけで、以下はweb版(ほぼ)未読者による紹介と感想です。
あ、今年最後の赤枠おすすめで!

人間と魔族が長い間戦いを続けてきた世界が舞台。いざ魔王と勇者の最終決戦という段になって、魔王は勇者に戦いではなく対話を持ちかける。それは本当の平和を取り戻すにはどうしたらいいのか?ということ。正義について今まで疑ったこともなかった勇者だが、魔王の言葉の真摯さに心を動かされ、対決をやめ、それどころか魔王の理想という世界の実現のために積極的に力を貸し始める……。

中世風世界で、まだ経済や各種技術が発達していない世界に新しい農産物や作付方法、羅針盤のような新技術などを次々に持ち込み、戦いによらずして世界のありようを徐々に変えていくという手法がおもしろいですね。
もちろん、世の中そんなにうまく行くはずもなく様々な障壁が待ち構えているし、戦わざるを得ないことも出てくるわけですが逆にそこがリアルだといえます。
そんな堅苦しいだけではなく、キャラクターの恋模様もなかなかに魅せてくれます。
勇者も魔王もこと恋愛に関しては初心もいいところですが、おくてな割にはいちゃいちゃぶりが伝わってきます(笑)。まあライバルもいっぱいなんですけどね! いつの間にかすっかり重要な役どころになってるメイド姉など脇キャラの魅力もいっぱいですよ!

ただ、ぶっちゃけ慣れるまではかなり読みにくいです。
地の文はほとんど存在せず、キャラクター同士の会話によってのみ物語が進行するという戯曲か台本のような構成になっているのがその理由。テンポさえ掴んでしまえばこっちのものなので、最初はがんばって読み進めてください。

以下は作品の特殊性に絡んだ雑感です。
イラスト担当が二人というのは、ラノベ的にはちょっと落ち着かない感じですね。水玉螢之丞さんはキャラデザということですが、本文イラストも担当しているので、toi8イラストと共存してる形になってますが、できれば一本化してほしかったかも。
あと、これはラノベ読者特有の感覚ですが、解説があるのに著者のあとがきがないのはやはり落ち着かない。
会話文の色分けは見やすくてよかったです。脚注は、個人的には全く必要なかったですが、まああって邪魔になるというわけでもないのでどっちでも。

ともかく続きが早く読みたい!


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