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ヴァンダル画廊街の奇跡

タイトル:ヴァンダル画廊街の奇跡(小説:電撃文庫)
作者  :みながわまもる:美奈川護
絵師  :望月朔
デザイン:?
編集  :?

第16回電撃小説大賞<金賞>受賞作。

作品としては派手なアクションもなく恋愛もなく少々地味ですが、名画を鍵としているところなどある意味文学少女と似たところがありますね。
実はおすすめにするかどうかすごーく迷ったんですが、
「人は誰もが、心の中に一枚の絵を持っている――」
このテーマにやられました。

世界統一政府の出した『プロパガンダ撤廃令』によって、少しでも戦争を連想づける芸術は規制対象となってしまう……そんな世界にあって、名画をビルの壁面などに大きく突如として描いてみせる犯罪者『ヴァンダルの活動を追う物語。

規制をあざ笑うかのように、世界各地の壁面に規制されたはずの名画を描き出し、「芸術に、その自由を!」とメッセージを残していくヴァンダルとは何者か?

転写眼という特殊な眼を持つ少女エナと、高性能AIのネーヴォ、そして半サイボーグのハルクによって行われるヴァンダルの活動は政府を敵にしてまで何を目的としているのか……

作品全体の持つ雰囲気はすごくおすすめ。
ちょっと物語の設定に引っかかる部分がいくつかあるんですが、それも新人さんならではの荒削りな部分ということで雰囲気の方を大事にしたいですね。
ちょっと文章では表現しづらいんで、やっぱり実際読んでもらうのが一番かと。

あと、やっぱり作中であがった名画についてはせめてネット上でもいいからチェックしておくのが吉。感情移入度が全然違います。もちろん実際の絵を見た方が絶対いいんですけどね。
私はルーブル美術館で『民衆を導く自由の女神』については実物を見てますが、ぶっちゃけあのエピソードへの入れ込み具合は半端じゃなかったです。


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from monumenta librorum on 日曜, 2010/02/28 - 20:50

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from 繧オ繧、縺ィ縺ッ縺 on 水曜, 2010/02/17 - 20:56

繝エ繧。繝ウ繝

from たかいわ勇樹の徒然なる日記 on 日曜, 2010/02/14 - 15:47

 今月発売の電撃文庫は第16回電撃小説大賞の受賞作が出ていますが、中でも金賞受賞作の美奈川護作「ヴァンダル画廊街の奇跡」が、「ギャラリーフェイク」などでアートに多少の興...