名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

本日の名台詞

あたしは雨が好きだ。そしておばあちゃんが好きだった。彼女だけが幼いあたしに小さな雨粒を、ほんの小さな言葉を、いつもあたしにふりかけてくれた。いい子だから。いい子だから。いい子だから。
いい子になれ、と彼女は言わなかった。
一度も言わなかった。
ただ、小刻みに幾度もうなずいて、あたしが生まれる前からあたしの中にすでに存在しているはずの、小さな小さな何かにむかって、くりかえしたのだ。
いい子だから。いい子だから、と。
人生は無意味で、無価値で、寝転がっているほうが心地よくて、でも一つだけ真実があるとすれば、それはこういうことだ。――ほんの何気ない一粒で、人はどこまでも走ることができる。


タイトル:15×24 link4 Riders of the Mark City(小説:スーパーダッシュ文庫)
作者  :しんじょうかずま:新城カズマ
絵師  :箸井地図
デザイン:?
編集  :?
キャラ :温井川聖美 (65 P)



 ▼本日の作品&台詞解説▼

15人による大晦日の24時間群像劇。自殺を止めようとしたことに始まり、どんどん状況は錯綜していきます。

それでは台詞解説。
家庭でいろんなすれ違いなどもありコンプレックスの固まりになり、素直になれない嫌な子。本人もそれは自覚しながらもずっとどうにもできないままだったのですが、病院で重篤状態になっているおばあちゃんからの言葉が彼女の迷いを吹き飛ばします。人間、ただの一言によって突き動かされることがあるのです。