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推定少女 (角川文庫版)

タイトル:推定少女 (角川文庫版)(小説:角川書店)
作者  :さくらばかずき:桜庭一樹
絵師  :?
デザイン:?
編集  :?

普通の少女、巣籠カナが、やっかいごとに巻き込まれ逃走中に見つけた謎の少女。
記憶を失っていたその少女は、カナにより白雪と名付けられますが、その行動もまた非常に謎めいていて……。
勉強などで日々閉塞感を覚え追い詰められた中学生の、なんとかしたいけれどできない焦燥感や大人に対する不信感などを非常に巧みな筋立てで描いた青春ストーリー。
現実か、幻想かあえてぼかされたちょっと謎めいたカナと白雪、二人の少女の逃避行の結末は……。
基本的に砂糖菓子は弾丸を撃ち抜けないと対をなす作品ですので、推定少女だけ未読の方がいたら迷わず読まれることをおすすめします。

角川文庫版には未収録シーンと文庫版あとがき、高野和明による解説が収録されてます。
「推定少女の元々のラストはバッドエンドだったが、編集側の意向でハッピーエンドに変更された」という経緯があり、今回の文庫版ではファミ通文庫版のラストに加え、未収録ラスト2つを収録
さて、では実際のところはどうだったのかというと……

これより多少三種のEDについて触れます。
一切のネタバレが嫌いな方は退避を。

退避しましたか?

さて、まず1番目のED。バッドエンドルート。
これが最初に作者が執筆してファミ通文庫の編集部にボツをくらったものですね。
あー、なるほど。すぱーんと簡潔に書かれたこれは確かに桜庭一樹の作風にもっとも合っていますが、ファミ通文庫というレーベルカラー、そして当時の桜庭一樹の立ち位置を考えるとボツは致し方ないかな、という気がします。かなり投げっぱなし。

2番目はファミ通文庫版ED。
カナは現実に適応し、電脳戦士は子供のまま。

3番目はハッピーエンド。丁寧に書かれていてフォロー入りまくりです。
このままファミ通文庫版のEDになっていてもおかしくなかったんですが、コンパクトにするために不採用になったのかな?

うーん、しかし今読んでもやっぱりけっこう来ますねこれは。
思春期の時って自分もこれくらい「大人ってやつは!」みたいなことを思っていたような気がします。


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