名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

狼と香辛料 9

タイトル:狼と香辛料 9(小説:電撃文庫)
作者  :はせくらいすな:支倉凍砂
絵師  :あやくらじゅう:文倉十
デザイン:?
編集  :?

経済という要素を盛り込んだ、変わり種の中世風ファンタジー。
行商人のロレンスと、狼の化身である少女・ホロの二人の旅路を描いていきます。

上下巻構成の下巻、北と南の街の対立の構図に巻き込まれてしまったロレンス。
一歩身の振り方を間違うと破滅しかねない状況で、ロレンスのとった決断とは……

自分の連れ合いにしたいかと言われるとノーですが(笑)、エーブに惚れました。

極めて自覚的に、半ば破滅衝動でもあるんじゃないかと思うくらいに攻めの姿勢を貫く商人・エーブ。
どう考えても、最後には周りに誰一人残っていないんじゃないのか、というくらいヤバい感じですが、だがそれがいい。

あまりに強烈すぎるキャラなので、あまり出張っちゃうとロレンスの影が薄くなるという問題はありますが、エーブさんには今後とも出番があるといいなあ、と思います。かなり気に入ったキャラですね。
ただし気にいってはいても一緒になろうとは思いませんが。
そういう意味ではホロも、一緒になるにはちょっと疲れますね絶対(笑

明らかに、もはやお互いなくてはならない存在になりつつあることを意識して、しかも男女としての意識が強いことも自覚しつつ、でも分かれることを前提にしているから距離をつめすぎないようにして、しかもお互いの考えていることを理解しながらも言葉の上では決してストレートな表現を使わない……ああもうなんてややこしいカップルなんだ!
経済という要素を持ち込んで成功したライトノベルという以外にも、単純なツンデレなどではなくここまでややこしい信頼関係で繋がれたカップルとして他に類を見ない作品でもあると思います。


この作品の名台詞

「他の雌を助けるために何度わっちの智恵を借りるつもりかや?」
「だが、旅を共にするのはお前だけだ」

→解説


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