名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

スプライトシュピーゲルIV テンペスト

タイトル:スプライトシュピーゲルIV テンペスト(小説:富士見ファンタジア文庫)
作者  :うぶかたとう:冲方丁
絵師  :灰村キヨタカ
デザイン:?
編集  :?

燃えた。最初から最後までトップスピードで駆け抜けました。
富士見ファンタジア文庫最厚記録を更新する500頁を超える厚さなど全く問題にならない盛り上がりっぷり。
特甲児童。
元は体の重大な欠損を補うためのプログラムとして開発され、実際には強力な軍用として戦うことを宿命づけられた少女達の戦いの軌跡を描いた超燃え!なSFアクションです。赤枠でおすすめ。

今回はもう一つ同一の世界観で平行して話が進む「オイレンシュピーゲル」との話がかなり密接にリンクしてました。
特に鳳と涼月の会話は、両作品でそれぞれの視点から読むと何を考えて発言し、どう感じていたかが手に取るようにわかってすごくおもしろかったです。
毎回、軍需産業たるプリンチップ社の妨害が圧倒的に強く、ぼろくそにやられてしまうので「ほんとにこれで話がまとまるの?」と不安になるくらいですが、そんなボロボロの状態から再び立ち上がってくるMSSの少女達、そしてバックアップの面々。
もう誰がとは言わず、すべての人物に見せ場あり! 脇役なんていない!
鳳たちだけじゃなく、ヘルガや、ニナ、冬真、その他新キャラに至るまで。
なかでも一人だけ挙げるとすれば、FBIのハロルド。この人あまりにもかっこよすぎです。
絶対鳳の将来に影響を与える人物になりそうだなあ……。

それと、小説内のゲームとして登場した世界統一ゲームが、ほんとにやってみたい!
TRPGは無理かもしれないけど、どっかでゲーム化してくれませんかね。出たら買う。
作中で何度も出てきたマザー・テレサと経営者としての側面は考えたこともなかったので、これにはびっくり。
かなり興味を覚えたので後日調べてみよう。


この作品の名台詞

「ダメだ。立て」
「私の国では、負け犬の定義は厳密だ。自分は敗北にしか値しないと思い込んだ、正真正銘の敗者だ。人生の真の敵である徒労感を克服できず、打ちのめされた人間だ。そういう、ある意味で正しい挫折をした者を、さらに打ちのめしてくれるありがたい文句がある。立ち上がって戦え(スタンド・アップ・アンド・ファイト)――君の場合は、飛び立って戦え(フライ・ハイ・アンド・ファイト)がふさわしい」
「君はそんなにも若く、そんなにも素晴らしい羽があり、そんなにも素質に恵まれていながら、悪夢から二度と抜け出せなくなったというのか?」

→解説


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