名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

本日の名台詞

「火琉奈は作り物じゃない。作り物だが、本物の人間なんだ」
「言ってることはおかしいですが、言いたいことはわかります。あなたもようやくぼくらの世界に入門してきましたね」
「ぼくらの世界?」
「そうです。こっちはね、作り物こそ本物なんです。作り物を前にしたときだけ心が動くんです。自己表現だって、作り物を介さないとできないんです。
世界を把握している感覚、世界との一体感を得られるのは、作り物の中だけです。見知った場所、知り尽くしている場所を駆けめぐる快感は、作り物の中だけでしか得られないんです。そういう、よく知った作り物の中だけでこそ、ぼくは生きられるんです。
あの火琉奈さんは、『生きた作り物』、そう思っているからこそ積極的に関われるんです。生身の女性だと思っていたら近づく気にもなれません。拓巳さんが女子とつきあっているのをみて、まず単純に尊敬しますよ。よく生身の人間とつきあっているなって」


タイトル:セキララ!!(小説:ファミ通文庫)
作者  :はなたにとしつぐ:花谷敏嗣
絵師  :京極しん
デザイン:?
編集  :?
キャラ :タクミ&久実本 (245 P)



 ▼本日の作品&台詞解説▼

かつての自作小説の主人公がリアルに出現。
ただし、その自作小説には痛い過去があって……という本の中の少女が実際に出てきた、という筋の作品の変化球で、その変化球ッぷりがいい感じです。

それでは台詞解説。
火琉奈(かるな)は自作小説の主人公で、タクミはその作者(ただし秘密)。そして火琉奈についてあれこれ話しているわけですが……なんていうか「うわあああああああ」とばかりに頭を抱えたくなった人、正直に手を挙げましょう(笑)