名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 恋のドレスと秘密の鏡

タイトル:ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 恋のドレスと秘密の鏡(小説:コバルト文庫)
作者  :あおきゆうこ:青木祐子
絵師  :あき
デザイン:?
編集  :?

「その仕立屋のドレスを着ると恋が叶う」と評判の仕立屋・薔薇色の女主人クリスと、貴族の青年シャーロックの身分違いの恋の行方を描く物語。
最近の少女小説の主流となる、活発な少女が周りを振り回すタイプからは対極の物語で、クリスは非常に繊細で常に控え目、着るものも地味で仕立屋にいれば、たいてい相棒である売り子のパメラの方が仕立てをしていると勘違いをされるような状態。
でも、そんなクリスだからこそドレスを作る相手の心を推し量り、もっともぴったりするドレスを作ることができるのです……
巻数はいつの間にか10巻を数えていますが、たぶんさくっと読めますので落ち着いた作風でヴィクトリアンな空気を楽しみたい方にはぜひともおすすめしたいシリーズです。
恋のドレスとつぼみの淑女が、シリーズ1巻になりますのでぜひお試しを。数巻一度に読むとなおよし!

さて、この巻では改めて身分違いの恋であることを突きつけられて一歩引いてしまっているクリスが、それでもやっぱりシャーロックのことが好きなのだと再認識することになります。
未だ身分を越えるハッピーエンドは想像できないところが、貴族社会をちっちり描いていていいですね。身分違いなんて簡単に吹き飛ばせてしまうのがライトノベルのいいところではありますが、そう上手いこと物事が運ぶはずもないのが現実なわけで。
いったいどこに落しどころがあるのかいつも読むたびに考えてしまうのです。ああ、今回もしっとりといい話。
闇のドレスとの関わりも出てきますが、今回はちょっと違う展開に。
なるほどだから鏡なのね。

しかしやっぱりまともに内容には触れていないのでした。だからみんなちゃんと読むんだ。


シリーズ一覧


作品一覧


トラックバック

http://maijar.jp/?q=trackback/2199