名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

本日の名台詞

この世は不平等だ。神様に愛されるのを待っていたら、運命や都市の仕組みや同じ境遇の人間同士が醸し出す殺伐とした気分といった、ろくでもないものに殺されるしかない。
悲観することからも悔しがることからも脱出しなければ、生きているだけ運が良いと思わなければ、「幸せになりたい」と思うたび苦しくなる心に負けてしまう。
生きろ――生きろ――生きろ。
いつしか、お定まりの言葉を並べ立てる自分の口を無視して、その眼差しで、一人一人に訴えかけていた。運命に、都市に、隣人に、自分に、愛されなかった事実に――殺されるな――生きろ――諦めるな。何かを見つけてしがみついて生き抜け。
希望があるから生きるんじゃない。
生きていることが最後の希望なんだ。


タイトル:オイレンシュピーゲル 参(小説:スニーカー文庫)
作者  :うぶかたとう:冲方丁
絵師  :白亜右月
デザイン:?
編集  :?
キャラ :涼月・ディードリッヒ・シュルツ (22 P)



 ▼本日の作品&台詞解説▼

燃えるアクションとかくそったれな過去とかどうしようもない腐った現在とかが詰まったSF。
ラブ成分も3巻で大量投下、もう足りないものはありません!(笑)

それでは台詞解説。
特甲児童として一線で活動している自分たちの様子を、特甲児童の育成施設で語ってくる任務の中で、教科書通りの当たり障りのない内容を話しながら、自分の心からの言葉も届けようといつしか目で語る涼月。
どん底の環境でも決して負けるな、という決して口にはしないけれど本心から送るメッセージです。