名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

本日の名台詞

「その人って彼氏?」
は? いきなり何てことを言うんだろう、この人は。刻也とは彼氏とか付き合っているとかそんなんじゃない。
でもこういうことを言われるのは初めてじゃない。いえ、むしろよく言われるほうかもしれない。ということは周りから見るとそういうふうに見えるのだろうか。でも甲本さんは一緒にいるところなんて見たことがないから、わたしの口ぶりで判断したのかしら。
わたしはそんな風に聞こえるように話してしまっているのだろうか。確かに刻也とは一緒にいる時間はとても長いし、名前で呼び合ったりもしているし、家に行ったりしたこともあるし、二人で出かけたりもする。
世間ではこういうのを付き合っているというのだろうか。
ううん。違う違う。だって告白とかそういうのはないし、別に刻也のことをそんなふうに見てはいない。あ、でも、決して嫌いというわけじゃないの。むしろわたしの周りの人の中では一番仲がいいというか……。周りに同世代の人なんていないから刻也しかいないというか……。
って、刻也しかいないっていうのは、刻也でなければダメとかそういうのじゃなくて、とにかくわたしと刻也は付き合ってるとか、恋人とか、そういう関係じゃないことは確かだから、
「いいえ。違います」
わたしは素直にそう返した。
「ずいぶんと長い葛藤があったみたいだね?」


タイトル:付喪堂骨董店 2―“不思議”取り扱います(小説:電撃文庫)
作者  :おどうあきひこ:御堂彰彦
絵師  :タケシマサトシ
デザイン:?
編集  :?
キャラ :甲本&舞野咲 (277 P)



 ▼本日の作品&台詞解説▼

不思議な力のある骨董品が起こす様々な出来事と、それを扱う骨董店のお話。
上の台詞(というか正確には内面描写)を語る咲の魅力が特徴的。

それでは台詞解説へ。
すいません、めちゃめちゃ長い台詞を選んでしまいました(汗
これが普段は無口で無表情な少女・咲の内面なんですよ? すさまじいギャップでしょう。それを明らかにしておくためにあえて長いものを選んでみました。