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扉の外 2

タイトル:扉の外 2(小説:電撃文庫)
作者  :どばししんじろう:土橋真二郎
絵師  :白身魚
デザイン:?
編集  :?

気がつくとクラスの人間全てが閉鎖空間に閉じこめられている、という状況の中で起こるゲーム小説。
そもそも舞台設定が同じなので、視点が1巻とは別のクラスとはいえだいたい物語構造的にも似通ってます。ただ、1巻に比べて主人公は受け入れやすい性格であるのと、投げっぱなし設定にも慣れていることもあって特に抵抗なく楽しむことが出来ました。
閉鎖空間内で起こる集団心理の行き先、謎のAIの画策するゲームの行方など、ゲーム小説としてはかなり楽しめます。
が。

以下は、普段ナビゲーターであることを心がけているためあえてあまり書かないようにしている個人的な感想。半分愚痴かつ、ネタバレなんでご注意を。

1組の女神様である正樹愛美の扱いがあまりにももったいない!
集団として捉えた場合の、人のもめ事なんかは比較的よく書けていると思うんですが、これが個々の人間の考えていることとなると、「君らいったい何考えて行動してるのか?」というのがどうもわからないんですよね。単に書く気がないだけなのかもしれませんが、それでも、基本的にはだいたい個々のキャラクターは掴めます。ただ、正樹愛美だけは……。

作者の意図した方向に物語が進むように便利に使い倒されているだけの無機物のような印象さえ受けます。
だって、こんな優等生かつ現実主義者でパニックひとつ陥らず全方向博愛主義者って何者ですか? もし、最初から正樹愛美視点の続編を意識して、あえてこういう得体の知れない怪物的な描写をしているんだとしたらもはや降参するしかないですが、そうでない場合、どうにも正樹というキャラには現実味がなさすぎでどうにもこうにも……。
というわけで、扉の外3で、正樹愛美視点の物語が展開されることを心待ちにしています。


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from ラノベ神髄 on 月曜, 2007/05/14 - 05:56

今回スポットを浴びるクラスは、1巻で行われたゲームですぐに領地を取られてしまった8組。
代償としてカードの配給は止まってしまい、最低限の飲食物しか得られなくなった生徒達は...

from ちょいヲタ?バスタア日記 on 日曜, 2007/05/13 - 00:39

扉の外 2 (2) (2007/05)メディアワークスこの商品の詳細を見る
“ゲーム”の説明も受けずに初戦で敗退した8組の生徒はカードの供給も受けられず、無気力な毎日を送っていた。そんな中...

from いつも感想中 on 金曜, 2007/05/11 - 08:21

扉の外 2 (2) 作者: 土橋真二郎 出版社/メーカー: メディアワークス 発売日: 2007/05 メディア: 文庫 うーん、1巻をとても楽しんで読んだ口ですので、この2巻の出来は心配だったのですが...