名台詞を通してはじめる読書もある。ライトノベルを中心に、作品の長所を追いかけて紹介していくサイトです。
 

本日の名台詞 その3

「……お前、絶対その内、人を殺すぞ」
「そのときは、阿良々木くんにするわ。初めての相手は、阿良々木くんにする。阿良々木くん以外は、選ばない。約束するわ」
「そんな物騒なことをいい台詞みたいに言ってんじゃねえよ! 僕、お前のことは好きだけど、殺されてもいいとまでは思わないよ!」
「殺したいくらいに愛されて、愛する人に殺される。最高の死に方じゃないの」
「そんな歪んだ愛情は嫌だ!」
「そうなの? 残念ね。そして心外だわ。私は阿良々木くんにだったら――」
「殺されてもいいっていうのか?」
「……ん? え、あ、うんまあ」
「曖昧な返事だーっ!」
「うんまあ、それは、そうね、よくないけれども」
「そして曖昧なまま断ったーっ!」
「いいじゃない、納得しなさいよ。私が阿良々木くんを殺すということは、つまり阿良々木くんの臨終の際、一番そばにいるのがこの私ということになるのよ? ロマンチックじゃない」
「嫌だ、僕は誰に殺されるとしても、お前に殺されるのだけは嫌だ、誰にどんな殺され方をされてもお前に殺されるよりはマシな気がする」
「何よ、そんなの、私が嫌よ。阿良々木くんが私以外の誰かに殺されたなら、私はその犯人を殺すわ。約束なんか、守るものですか」


タイトル:化物語(上)(小説:講談社BOX)
作者  :にしおいしん:西尾維新
絵師  :VOFAN
デザイン:?
編集  :?
キャラ :阿良々木暦&戦場ヶ原ひたぎ (295 P)



 ▼本日の作品&台詞解説▼

とにかく怒濤で圧倒的な言葉遊び、それが化物語のすべてです。
高尚なテーマとかそういったものなど無くても、掛け合いをここまで昇華させることでささいな筋書きなどすべて吹き飛ぶくらいの存在感とおもしろさがあります。
これに関しては、上下巻揃えるとそれなりにお値段がかかっちゃうんですが、それだけの見返りはあると断言しましょう。

それでは台詞解説……の必要もない気はしますが。
見ての通りです。芸術的な掛け合い台詞で、そして最後にちゃんと歪んではいても深い愛情で締めくくるというすばらしい流れです。